おたクラブさんが2024年6月からカートを開けていた有償見本。
3種のうち、今回は「全面箔」のサンプルをレビューします!
不定期に印刷所「おたクラブ(大阪印刷株式会社)」さんが実施する、
有償(有料)ながら、自分のイラストで実際の装丁を利用出来る嬉しいサービス。
2024年6月は、自社のエンボス紙を体験できる「ユニークエンボスセット」、全面箔を体験できる「全面箔全色セット」、銀箔紙や偏光オーロラペーパーといったキラキラした紙の印刷具合を体験できる「銀箔オーロラフルセット」の3種がラインナップされた。
見本は17種類の箔×2種の用紙の合計34枚
有償見本として届いたのは、17種類の箔×用紙2種類の合計34枚という、ポストカードサイズとはいえかなりのボリュームでした。
見本の紙は「ケンラン(スノー)」と「GAクラフトボード(アース)」。
どちらも複数カラーを展開している用紙で、前者は上質紙系の(つるつるではなく少し指に抵抗を感じる)白い紙で、後者はクラフトという名前のイメージ通りのタッチ。「アース」は少し濃い目の茶色です。(もっと濃い色や、薄い色もあります)
おたクラブさんのHPには他カラーの写真も掲載されています(ケンラン ・ GAクラフトボード)。
今回のサンプルに使用された紙以外にも全面箔で利用出来るものが複数種類ありますので、ぜひ1回チェックしてみてください!
箔紹介と比較・感想
早速、それぞれの箔の出方をケンラン(スノー)とGAクラフトボード(アース)でどのように違うのか比較しつつ、個人的な感想を述べていきます。
17種類もあるので、勝手に分類してまとめました。
参考程度ですが、入稿画像はこちらです。モノクロ2値で作成しました。(クリック/タップで拡大)

使用している写真の注意点
全面箔という、光の当たり加減で大きく印象が変わるもののため、上辺部分にライトを設置したものと、ライトを使用せず自然光で撮影したものの2種の画像を掲載しています。
(一部1種類のみもあります)
撮影はiPhone 15 Plusにて行いました。
画像はいずれもPhotoshopにて多少の補正を行い、私が目で見えた環境(色)に近づけたものです。
どうしてもWEB上で閲覧する際、ディスプレイやモニターの影響で本来の色とは異なる場合も十分にありえますので、あくまで目安・参考としてご覧ください。
キラキラ系
箔なので皆キラキラではあるんですが、その中でもさらにキラキラなものからご紹介。
ゴールドスパークル


小さめドットのホログラムが散りばめられたような箔。
ぱっと目を惹き、非常に華やかな印象です。光の加減で緑やオレンジなどにキラキラ光るのも可愛い!
ただ、どちらかと言うと色が薄めなので、GAクラフトボードではちょっと目立ちにくいかも。
口元あたりの細い線は、光の関係で消えたように見える角度もありました。
私だったら、OKACカードの「あか」や「そら」、イルミカードを選ぶかなと言ったところ。
シルバースパークル

スパークルのシルバー版。こちらの方が全体的に落ち着いた印象を受けます。
上品さと華やかさを両立したい場合にオススメできそう。
こちらはゴールドと反対で、GAクラフトボードでもしっかりと細かいところまで見えます。
対して、ケンランの方も視認自体は出来るものの、インパクトはあまりないかな?という感じ。上品ではありますが、遠くからだと目立ちにくいかな?という印象。
こちらも下地の紙をカラーにしたいかな…。
OKACカードの「くさ」や「まくろ」なんかかっこよさそう。
ゴールドクラックドアイス

ホロPPでもおなじみの大きなホロが散らばった「クラックドアイス」。
ホロ部分の面積がスパークルに比べて大きいので、角度変化の楽しみはこちらが上かなと。
視認性についてはGAクラフトボードはやはり良いとは言えません。
ですが、角度を変えた時に一気に華やかな印象を与えるので、「一見シンプルだけど…実は!?」みたいな演出が出来るかも?
せっかくの大きなホロなので、箔面積多めの方が味を活かせそうだと思いました。
個人的にはケンランの「しゅ」に使ってみたいですね。
マゼンタサンド

ゴールド・シルバー系以外では唯一のキラキラ系がこちらのカラー。
スパークルよりも細かいです。傾けても明るさが変わる(ピンクのキラキラになる)だけで、イエローやグリーンなどの他の色は入りません。
キラキラがないバージョンの単色箔「マゼンタ」もありますが、比べるとサンドの方がピンクみが強い感じです。
ギラギラ光る!という感じではなく、非常に繊細なのでこのあたりは好みかと。

どちらの紙でもシルバー・ゴールドに比べて見やすいので、オールマイティーに使えそうです。
黒でもかっこよさそう。
グラデーション系
きれいなグラデーションを見せてくれる箔押しです。
個人的にかなり好みのグループです!
シルバーレインボー


一見シルバーですが、名前の通り、角度でレインボーカラーが現れます。
レインボー自体の光り方はそんなに派手ではなく、上品な感じ。
私の場合、目に入って来やすいのはブルー・グリーン系でした。
レインボーが濃くなく、パステルカラー系に近い淡さなので、派手過ぎず、でもちょっと変わった印象にしたい…っていう方にオススメかもしれません。
あまりベタが少ないと、せっかくのレインボーがあまり出てくれないので、大きくロゴを入れるとか、ベタ面を多くするとかの工夫をしたほうが活かせる気がします。
シルバー系は濃いめの色の紙でもきちんと見えてくれるのでよきですね。
個人的にはOKACカードの「まあか」で攻めたいです。
マルチカラー たて


シルバーレインボーとは打って変わって、はっきりとしたレインボーカラーの箔です。
一見して「派手~~~!!」と思えるインパクトの強さは、全部の箔の中でも一番じゃないかなと思います。
ケンランのような色が薄い紙でも、GAクラフトボードのような色が濃い紙にも負けない色の派手さは、遠目からでも目立ちそう。
多分ですが、色の出方は決まっているので、ベタ面などを調整して色で遊んだら楽しいかも。
シンプルに置くだけもキレイだし、工夫次第で面白いことが出来そうですね。
マルチカラー ななめ


同じ虹色箔の斜めバージョンです。
たてとどっちがいいかは好みによるところでしょうが、私はななめの方が好きです!
ただ、この写真を見る限りはななめの場合、どの位置にどの色が入ってくるかはわからない感じなのかもしれません。(クラフトボードとケンランで微妙に色が入る角度が違うんですよね…自然光の方がわかりやすいと思います)
そうだとしたら、色で遊ぶなら「たて」の方がやりやすいかも…?
おたクラブさんの公式に、マルチカラーの色の出方に関しての記載がありました!
紙との色相性についても記載があるので、利用前にはチェック必須かも…。
https://otaclub.jp/product_info/paper-print-process/foil-stamping/
単色系
シンプルな1色の箔です。
全部で10種類(10色)で、ピンク(赤)系が豊富な印象です。
ゴールド


箔と言えば!な王道ゴールドです。
ゴールドと一口にいっても、オレンジよりとイエローよりがあると思っているのですが、
こちらのゴールドはイエロー寄りです。
といいつつ、上部光バージョンでは下側がオレンジっぽい色味になっているんですが、
これは撮影者の影(色)がちょっと加味されているためです。
(自然光側でも影のところは色が濃くなっているのがわかると思います)
スパークルやクラックドアイスなど様々なゴールドがありましたが、基本抱く印象は同じですね。
GAクラフトボード(アース)だと、どうしても視認性が気になるところ。
派手好きな自分としては、鮮やかな色の紙で行きたくなってしまいます。
シャンパンゴールド


ゴールドよりも上品な色味で、クラフトボードで比較するとこちらの方が細い線も視認しやすい印象です。
イエローみが抑えられて、シルバーとの中間という感じになっているので、上品なゴールドを希望するなら、こちらの方がいいかもしれません。
光ありと自然光で、私の中で一番印象が違うのがこの色でした。
目で見ると自然光の色に近いんですが、照明があるとちょっと濃い目に見えるんですよね…。
GAクラフトボードの「ムーンストーン」みたいな落ち着きがある紙なんてよさそうです。
黄色系だと沈んでしまうかな…?意外と難しいかも…。
シルバー

こちらも王道、シルバーです。
王道過ぎて言うことが特にないレベルです。
だからこそ使いやすい色でもあるので、失敗したくない方はシルバーがいいかな?と思います。色んなカラーの紙にも馴染んでくれますし。
白地の紙にシルバー箔の本を持っていますが、可読性も高くおしゃれでした!
個人的にはエスプリVエンボスの「バイオレット」あたりにぶちあててみたいです。一度。
ブラウン


濃いめのブラウンで、色も非常にど真ん中な印象です。
GAクラフトボードでもはっきりわかりますし、紙と同系統でセットアップするのも可愛くてよさそう。
光に当てると、少しオレンジ味が出ますが、カッパーのような赤みはありません。光が当たっていない部分は結構に濃く感じるので、銅みたいな色味を出したいと思っていると「ちょっと濃いなあ」って感想になると思います。
レッド


こちらもブラウンのように濃い目の赤。
私の目からすると、GAクラフトボードの方が鮮やかなレッドに見えます。
これは紙の違いで出るものなのか、色差なのかちょっとわかりませんが…。
かなり落ち着いた印象を受けますので、「あんまり面積が多いと派手派手になっちゃうんじゃ…」という心配はいらないかなと。大胆に使っても大丈夫だと思います。
パープル


どちらかと言えばピンク寄りの紫です。
光に当てたときはよりピンクみが強くなりますので、ミステリアスな雰囲気が演出できそうです。
やっぱりケンランだと色味の出方が強い(濃い)感じがします。自然光で比較するとわかりやすいかな。もう少し色味をおさえるなら、クラフトボードか、他の色のある紙を使った方がいいのかも。
マゼンタ


こちらはマゼンタサンドと違い、角度を変えてもキラキラしない、フラットな箔です。
パープルをよりピンク寄りにした感じでしょうか。レッドとは大きく印象というか、色の方向性が違うように感じます。
今回の箔の中では一番ラブリーな色になる…のかな?これは本当にお前がそう思うんならレベルですが…。
単色箔は全体的に、キラキラとかグラデに比べると落ち着いた色味が多い気がします。
ピンク


ピンクとはいうものの、おしゃれなくすみカラー、モーヴピンクに近い印象です。
マゼンタで「これが一番ラブリーカラーかも」と思ったのも、このピンクがかなり落ち着いてたからなんですよね。
あと、他の単色に比べると、GAクラフトボードアースでの視認性がちょっと…ほんのちょっとですが悪いかな?…と思いました。多分、他に比べてベースの色が薄いからだと思います。
しっとりしたきれいな色なので、落ち着いたラブストーリーの本に使うとかよさそう。
個人的にはめっちゃ好みの色なので、機会があれば使いたいですね。
グリーン


パキっとした見やすいグリーンです。
青みにも黄みにも寄っておらず、角度を変えて光らせてもシンプルに明度・彩度がアップするような感じ。
なのでGAクラフトボードアースでもはっきりと見えますし、用紙をあまり選ばなさそうに思えます。
ファンタスのライムとか、イルミカードのイエローとかで目潰しに使ってみたいなあ…。
ブルー


最後の単色はブルー!
グリーンと同じくパキっとした、かつクールな色味なので、色々と使いやすそうです。
グリーンということがほぼ同じになってしまうのですが、補色に近い色味のカラーで使えば派手に、同系色の紙を使えば落ち着いた感じになると思うので、かなり取り回しが効く色なんじゃないかと思います。
細い線・細かい箇所について
箔で大事なのは色もですが、「どこまで潰れないか」だと個人的には思うんです。
ちょっと意地悪な話ですが、今回はサンプルということもあり、潰れてもいいという前提で敢えて細かい部分を作って入稿したんですよね。
…ですが細いところもキレイに作ってくれてます!感激!
(写真の色は「マゼンタサンド」です)

背景の黒いお花のところ(上記画像中央付近)、白でほそ~~く線が入っているんですが、そこをきちんと抜いてくれてるんですよ!
想像以上に細かくやってくださっていることに驚きと感動を覚えました。
注意事項として
クリアー系、ブルー系の色味の箔は特に抜きに弱く、小さい隙間は埋まったり潰れてしまう可能性が高くなります。
とサイトに記載されているので、使う色味によっては潰れるケースもあると覚えておいたほうがよさそうですね。
広範囲の箔は圧倒的なインパクトでした!
今回はおたクラブさんの全面箔有償サンプルをご紹介しました。
今まで箔押しも全面箔も利用したことがなかったので、今回の3種サンプルの中で一番楽しみにしていたんですが、期待を裏切らない派手さとインパクトでした!
データも2値であること、そして細かすぎる模様や網点でなければ問題なさそうなので、色んな表現もできそうに思えます。
一度全面箔での本を作りたい!そう思わせてくれるほど魅力的な有償サンプルでした。
おたクラブさん(大阪印刷株式会社)