有償見本キャンペーンレポ、その2!
前回の「全面箔」編に続いて、今回は「ユニークエンボスセット」編です。
不定期に印刷所「おたクラブ(大阪印刷株式会社)」さんが実施する、
有償(有料)ながら、自分のイラストで実際の装丁を利用出来る嬉しいサービス。
2024年6月は、自社のエンボス紙を体験できる「ユニークエンボスセット」、全面箔を体験できる「全面箔全色セット」、銀箔紙や偏光オーロラペーパーといったキラキラした紙の印刷具合を体験できる「銀箔オーロラフルセット」の3種がラインナップされた。
おたクラブさんの他の印刷レポはこちら!
13種類のエンボス紙×2パターンの合計26枚!
「ユニークエンボス」見本に封入されていたのは全部で26枚。
おたクラブさんでは2種類の「ユニークエンボス(以下無印と表記することがあります)」と「ユニークエンボスパール(以下パールと表記することがあります)」の2種のエンボス紙を取り扱っており、それぞれ13種類のエンボス模様があります。
使用している写真について
撮影はiPhone 15 Plusにて行い、また、撮影用ライトをポストカードの下側に置き使用しました。
また、モニター上の写真を私の目に見える色味に近づけるため、一部Photoshopでの補正を行っています。
加えて、ご覧になっている環境によって、実際のものと色味が若干違う場合がございます。
あくまで参考としてご覧ください。
ユニークエンボスとパールの違い
紙の違いは、公式サイトによれば
製紙メーカーと共同で製造している用紙です。
抜群の安さと、あまり見かけない特徴的なエンボス柄が非常に魅力的な用紙です。
ユニークエンボスは印刷に影響を及ぼしづらい紙色です。
ユニークエンボスパールは青白系の用紙に金色のパール光沢を付与しています。
とのこと。
実際手元で見ると、結構印象が違います。

ユニークエンボスの方が色味が濃く感じる
2つの違いの第一印象は「色の濃さ」でした。
具体的には、「ユニークエンボス」の方が「パール」に比べると、色味がしっかり乗っているように見えます。
なんというか、しっかりインクを吸っているような印象です。
入稿したイラストデータがこちら(RGB入稿なので、サイズ以外そのまんまです。クリック/タップで拡大)。

色々な印刷所さんで印刷してもらっている絵ですが、その中でも濃いめの出力だなと思います。
同じ絵で有償見本の「銀箔オーロラフルセット」もお願いしましたが、そちらの方は印刷が濃いと感じることはなかったので、紙の特徴・性質なのかなと思います。
ちなみに裏はこんな感じ。サイトの説明の通り、パールの方が白(青白い)印象で、逆に無印は黄みがかっている印象を受けますね。

パール感は強くなく、角度で上品に光る程度
「パール」のパール感はそんなに強くありません。自然光に当ててみると「お、パールかな?」という程度ですが、蛍光灯に照らすと結構差を感じます。そこをどう思うかがポイントかな…?
キュリアスやシェルリンみたいな、ぱっと見でパール紙だ!とわかる感じではありません。
ユニークエンボスを使いたいけど、無印だとちょっと色味が濃いかな…?と思った時はパールを使ったほうがいいかも。
エンボスごとの紹介/感想
ここからは、13種類もあるエンボスを2種の紙で模様の出方などを比較しつつ、個人的な感想を述べて行きます。
他のエンボス紙でも見かけるようなものもあれば、他にこんなのあるのかな?と思うような面白いパターンもあるので、見ているだけでも楽しかったです!
サイトで見ている限りは「これがいいかな?」と思っていたものが、自分の絵だとイマイチだったりしたのも、面白い発見でした。
iPhone 15Plus+撮影用ライトを使用して撮影しています。
ライトの箇所は中心下部分です。
エンボス面アップの写真は蛍光灯下、フラッシュなしの撮影です。
その後、Photoshopにてより実際の見た目に近づけるための補正を行っていますが、環境により違いが出ることがございます。
あくまで参考としてご覧いただけますと幸いです。
チェッカークロス


エンボスの「モメン」に近い印象の模様です。
模様の出方自体もおとなしいので、どんな絵柄にも使えそう。
絵本ぽいイラストだと、キャンバス地に描いたように見えて雰囲気がアップするかも…?
パールは先程書いたように非常に上品なので、ぱっと見で入っているのかわからないくらいです。
ただ光を当てるようにすると、ラインの一部がキラっと光る感じになるので、無印よりも模様が目立ちやすいですね。
ツチメウチ


槌目模様という意味かなと思うこちらの模様は、「ハンマーGA」に似た印象です。
ぱっと見た印象では、無印の方が模様が強く出て見えます。
パールも模様自体はわかるのですが、より強く地模様を出したいなら無印の方が良いと思います。
傾けて見てみると、パールによる反射があるからか、逆に無印よりも模様が目立って感じられます。
自分ではあんまり見かけないタイプだと思っていて、サイトの写真ではちょっとどうかな~…自分は使わないかもなあ~…って印象だったんですが、手元で見ると目立ちすぎず、けどニュアンスもあって面白い紙だったので、今後使ってみたい候補の一つになりました。
ラビオリ


パスタのラビオリに形が似ているのが名前の由来かな?と思っています。可愛い。
ここで他社さんのお名前を出すのはアレだとは思いつつも、伝わりやすさ重視で言いますと、プリントオンさんのオリジナル遊び紙「パールキルトペーパー」シリーズに近いです。
これも、サイトの写真を見た限りでは、絵が地模様に負けちゃうんじゃないんか!?と思っていたのですが、13種の中ではトップを争えるレベルで目立つものの、絵より模様が勝ってる!ってことはありません。
アップにしたらわかりやすいんですけども、本当にラビオリのように、具が入っている部分…中央付近がぽこっと膨らんでいる形になっています。
そのことによってどうしても凹凸と影が出てしまうので、そういうのが苦手な場合は避けたほうがいいですね。
個人的にはフリルいっぱいの女の子の絵に合わせたい!
パール感については、結構凹凸があるので他の紙よりもキラっと感が強めに感じられる気がします。
なので、傾けるとパールの方が地模様が強く出ます。逆に無印は少し目立たなくなりますね。
ラタン


モダンタイルのような模様がとってもおしゃれ!
調べたらラタン柄?みたいなのがあるみたいですね(無知)。
地模様の出は一見おとなしいのですが、凹凸がしっかりとあるため、角度によっては影が出て結構模様が目立つことがあります。
縦線が入っているように見えてしまうこともあるので、このへんは使う際に注意しておきたいかなと思いますが、ポストカードサイズでこのくらいなので、本の表紙ならそんなに困ることはない…かな?
模様自体もスタイリッシュな印象を与えるので、パキっとした色味でアップ目のイラストに合わせると格好良くキマるんじゃないかなと思います。
ライノセラス


恐竜の肌のイメージでつけられた名前なのかな~?と検索してみたら、3Dモデリングソフトを販売されている会社さんがヒットしました。新しいものを一つ知りました。
目の細かい、動物の革のような模様が特徴。他の紙で言うと、「クロコグロス」に似ているかもしれません。
アップの写真を見ていただいてもわかる通り、非常に模様の目が細かく、そして凹凸が少なめです。
自然光では無印とパールでの模様の出方はほぼ同じですが、
光があるところ(蛍光灯の下など)で見ると、パールの方が模様が強く出ますね。
高級感を感じられる地模様なので、大人っぽい雰囲気の本に合いそうな雰囲気です。
シックな感じならノーマル、高級感を出すならパールかな?
ポルカドット


ポルカドットと言えばスティングレイ…はさておき、こちらも動物の革のような地模様を持っています。ライノセラスとよく似ていますが、こちらの方が凹凸がしっかりしているので、存在感は上。
他の紙では「クロコGA」に似ています。
ランダムブラシ


こちらも名前の通り、ブラシの毛先でランダムに紙に絵の具を載せたような凹凸を持っています。
ブラシで触った部分が凹んでいるなので、絵に変な角度がついてしまうことはありません。
漆喰や岩肌のような、少しザラっとした印象を与えます。
光が強く当たらなくても凹凸が見えやすい紙なので、質感重視の方にオススメかも。
細かい繊細な絵柄よりは、パキっとしたシンプルなアニメ塗りなどの方が活かせる気がします。
パターンブラシ


こちらはパターンという名の通り、編まれたカゴのような、クロスっぽい規則的な模様になっています。筆タッチをパターンにした感じ、なのかな?
凹凸の深さは比較的小さめで、ノーマルだと遠目からは凹凸があるか分かりづらいかもしれません。
パールは光の当たり具合では結構ぱっと目立ちます。
模様自体の大きさはそれなりなので、割と遠目からでも目立ちます。
特にパールは反射があるからか結構はっきり見えるので、抑えめにしたいならノーマルの方がオススメできるかな。
パイソンシェル


エンボスの柄はかなり細かく、暗めの場所では加工されているかわからないほど。
「遠目からはナニもないように見えるけど、実は…」といった、控えめにエンボスを使いたい方におすすめできそうです。
パールの方は間近で見ると、エンボスによるシャドウを感じます。
より控えめな印象がいいなら、ノーマルがおすすめです!
スタッズ


パイソンシェルによく似た形ですが、こちらの方が正方形に近く、より細かく凹凸が入っています。
そのため、遠目から見てもパイソンシェルよりはっきりと模様を視認できますね。
模様(柄)自体はシンプルなため、どんな絵でも邪魔はせず、初めてエンボス紙を使ってみたい方にもよさそうです。
ただ、個性を出したいなら他を選んだほうがいいかも…?
ジュート


ジュート、多分「麻」柄かな?と思います。違っていたらごめんなさい!
一見ボーダーのようですが、細かく凹みが作られています。
今回のユニークエンボス紙の中で、一番凹凸の差が感じられ、ノーマルでもパールでもしっかりとシャドウが出ます。
あまり繊細な絵柄だと、ちょっとエンボスに負けてしまうかも。
しっかりとラインがあり、パンチのある色味と合わせると面白い効果が得られそうに思えます。
ウェザリング


ウェザリングをググったら、模型の塗装技術における「風化や汚れを表現する技術」とのことです。
エイジングっぽい処理なのかな?
模様は左上から右下にかけての斜めに入っていて、エンボス自体の凹凸はかなり少なめ。
レザックろうけつのような、少し凸凹した特殊紙に印刷したような印象を受けます。
ユニークエンボスを使ってみたいけど、あまり絵に影響が出るのは避けたい方にオススメだと思います。
あと、全体的にノーマルよりパールの方が模様が目立つように見えたのですが、こちらはノーマルの方が若干目立つように思います。ほとんど差はないので、好みの範疇かな?
イシダタミ


最後のエンボス「イシダタミ」。
その名前の通り、石畳のような大き目の模様がしっかりと主張していて、ジュートに次ぐ目立ち具合な気がします。
他にも円形だと「ライノセラス」や「ポルカドット」がありますが、それらに比べるとかなり凹凸がはっきりしています。
豚革みたいなボコボコ感が近いかな…?流石にクロコダイルほどではないはず。
写真でもわかるかと思いますが、かなり絵に強く印象を与えるので、使い方の工夫がいるかも?
(当然ですが、凹凸がしっかりあるからといって絵が歪んで見えるようなことはありません)
超・個人の偏見ランキング
13種類のユニークエンボスで、勝手な偏見ランキングを作りました!
参考にならない可能性も十分にありますが、「そんなもんか~」と思っていただけたら。
凹凸がしっかりしてるランキング
- ジュート
- ラビオリ
- イシダタミ
エンボスの凹凸差が大きく、遠目からでも模様がわかるのはこの3つです。
「せっかくエンボスを使うんだから、しっかり模様を出したい!」という方にオススメ。
密やかエンボスランキング
- チェッカー
- パイソンシェル
- ウェザリング
逆に、エンボスの凹凸差があまり感じないランキングです。
もちろん、一見してつるつるの紙ではないことはわかりますが、凹凸が少なめなので元の絵やデザインの印象を崩しにくいもの…と捉えていただければ。
どうせ使うなら個性的なのがええやんランキング
- ラタン
- パターンブラシ
- ジュート
- ラビオリ・ポルカドット・ランダムブラシ・イシダタミ
「どうせユニークエンボスを使うなら、エンボスつこてる~!って感じのがいい!」という方は、ここらへんから選ぶと面白いんじゃないかなと思います。
ラビオリもかなり個性的なのですが、他社印刷所さんで同じような紙があることからちょっとランクを下げました。
私が自分の本で使うならランキング
- ラタン
- パターンブラシ
- ライノセラス
一番参考にならないランキングで申し訳ないのですが、私が今回印刷してみて「自分の絵に合いそうだな」と思ったランキングです。
ラタンはまず模様自体が好きなのが大きいです。凹凸もあるように見えながら実は結構控えめで、角度も急じゃなければシャドウも出づらく、絵への影響も少なめだと感じました。
A5サイズ本で、パールで使いたいですね。
パターンブラシは上品な印象の凹凸で、ちょっとした布のようなテクスチャにも見えるところが気に入りました。
ランダムブラシも面白いのですが、こちらは凹でデザインされている模様に感じて。
私の絵は凹よりは凸の方が相性がよさそうに思えたのも、パターンブラシを選んだ理由です。
ライノセラスは、ポルカドットやハトメなどの他の○系模様の中で一番大人しく、牛革のような上品さを感じたのが理由です。パールでもノーマルでも使いやすそうなので、実際自分がユニークエンボスを使うとしたら、一番最初に選ぶかもしれません。
模様で絵の印象も結構変わる!アクセントとしてもよさそう
今回実際に印刷してもらってわかったことは「写真と実物は結構違うな」ってことでした。
公式サイトを見た感じでは「ポルカドットがよさそう(自分好みそう)」と思っていたのですが、実際に手に取ってみると「ちょっと凹凸の主張があるな?」と感じましたし…。
なかなかこういったお試し印刷を利用できる機会がないので、本当にラッキーでした。
おたクラブさん、ありがとうございました!
おたクラブさんの他の印刷レポはこちら!
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