おたクラブさんで行われていた有償見本3種のうち、今回は「銀箔オーロラフルセット」を、実際の印刷見本と共に感想をレポートしていきたいと思います。
不定期に印刷所「おたクラブ(大阪印刷株式会社)」さんが実施する、
有償(有料)ながら、自分のイラストで実際の装丁を利用出来る嬉しいサービス。
2024年6月は、自社のエンボス紙を体験できる「ユニークエンボスセット」、全面箔を体験できる「全面箔全色セット」、銀箔紙や偏光オーロラペーパーといったキラキラした紙の印刷具合を体験できる「銀箔オーロラフルセット」の3種がラインナップされた。
おたクラブさんの他の印刷レポはこちら!
内容及び元原稿
有償見本では、上半分が白印刷なし、下半分が白印刷ありになっていて、差がよりわかりやすくなっています。
入稿原稿は「ユニークエンボスセット」と同じ、こちらの画像です。(クリック/タップで拡大)

紫系が下にももうちょっとあったらよかったかも…!
紙の詳細はおたクラブさんの用紙一覧をご覧ください。
使用している写真について
撮影はiPhone 15 Plusにて行い、モニター上の写真を私の目に見える色味に近づけるため、一部Photoshopでの補正を行っています。
また、ご覧になっている環境によって、実際のものと色味が若干違う場合がございます。
あくまで参考としてご覧ください。
使用写真「明るい角度」と「暗い角度」について
銀箔紙、銀箔ホログラムペーパーの19種において、「明るい角度」と「暗い角度」の2種の写真を用意しています。
「明るい角度」は、光(自然光/蛍光灯どちらでも)の下で、一番ホログラムが見えづらくなるように、「暗い角度」は、一番ホログラムが見えるように撮影したイメージです。
基本的には「暗い角度」の見え方を参考にしていただければと思います。
また、銀箔紙全般に言えることですが、白印刷をしないとどうしても視認性は低くなる印象です。
偏光オーロラペーパー4種
偏光オーロラペーパーとは、公式サイトによると
自社オリジナルで製造をしている、偏光(光の向きで色が変わって見える)用紙です。
4種類の用紙をご用意しておりますので、お好みの色をお選びください。
という、ホログラムっぽい用紙です。
偏光オーロラペーパー ピンク




偏光オーロラペーパー 350μのピンク/濃ピンクです。
傾けるとグリーンのような色味が入ってとってもキレイ!
濃さによって偏光カラーが変わることはなく、どちらも同じくらいのグリーンが入ります。
濃ピンクは写真からもわかる通り、かなり濃い目です。1枚セロハンを被せたようなレベルで色が乗ります。
逆に言えばピンクをより強調できるので、コミカルな恋愛ものの背景に上手く使うと、かなりのインパクトを与えられるかも…?
偏光オーロラペーパー ブルー




偏光オーロラペーパー 350μのピンク/濃ブルーです。
こちらの偏光カラーは黄色~オレンジで、ピンクに負けず劣らずキレイな色味です!
ただ、ピンクと違ってブルーなので、当然なんですが、黄色部分は結構くすむというか、色が落ちてしまいます。
右側の背景部分が顕著ですね。
服や髪などの青系部分は色馴染みがいいので、とってもキレイ。個人的に好みの色味になってます!
色を落としたくないところを上手いこと避けて使えば、神秘的な雰囲気を演出しやすい紙という印象です。
銀箔紙19種
ここからは銀箔紙および銀箔紙ホログラム、全19種のレポートです。
この紙は端的に言えば、「既にホロPPが貼られた紙」でしょうか(正確な意味ではないのでご注意ください)。
派手な柄も多く、上手く使えばかなりインパクトがある表紙が作れそうです。
銀箔紙


シンプルなメタルペーパーです。
写真では「明るい角度」だと白印刷の方が暗くなっていますが、蛍光灯の下で見ても銀箔紙部分の方が暗く見えます。
「暗い角度」の方を見ていただくとわかりますが、結構色自体は沈む印象ですね。
模様が入っていないので、絵全体の雰囲気を変えることなく、上品で重厚な印象を与えられるかなと思います。
人物やタイトルを白印刷にする(または逆)で奥行き感を簡単にだせそうです。
モザイク


ここからは銀箔ホログラムです。
「モザイク」はその名の通り、細かい正方形のホログラムが敷き詰められています。(モザイクタイル的な?)
その強さゆえか、下の色の反映もあまりありません。「ザ・ホログラム!」という感じ。
その代わり、かなり強い印象を与えられる紙でもあるので、センス◯な方はぜひチャレンジしてほしいです!
私には難しいです…
シティライト


街の灯りという意味だけあって、ホログラムがランダムに光る可愛い紙です。
角度によって光る場所がはっきりと変わるのでかわいく、ポップな画面によく合いそうです。
構成パーツも小さめなので、ギラギラすぎる印象になりにくいのも個人的に好みです!
クラックドアイス


一度おたさんでクラックドアイスのホロPPを貼ってもらったことがあるのですが、それよりも派手です!
(まあPPで見えなくなったらお話にならないので当然ではあるんですが…)
クラックが結構大きめなので、角度にもよりますが結構視認性は低くなります。
角度で見え方がかなり違うのと、使いやすいのが個人的に好きなポイントです。
背景にあるだけで派手になる!
レインボー


シンプル・イズ・ベストなレインボー。模様は一切なく、偏光のレインボーカラーをプラスできます。
色が沈んでしまうことだけ覚えておけば、クセがないのでちょっと使ってみる…というお試しにも向いてそうです。
逆に「どうせ使うなら派手な方がいい!」という場合は絶対に他を選んだ方がいいかなと。
派手な銀箔ホログラムシリーズの中では、いぶし銀的な存在に見えます。
ファイアワークス


めちゃめちゃキラキラで可愛いです!
シティライトやクラックドアイスのように、角度によって見える花火が違うため、意外と視認性が高い特徴?もあります。
かなり華やかな画面になるので、シンプルな色背景に乗せるだけでもぐっと映えそうです。
ただ、冬が舞台のお話だと少々使いにくいかも…?でも可愛いからいい!
ミニキューブ


少しデジタルな雰囲気を感じるデザイン。
キューブの密度は結構高いので、シティライトよりもしっかりホログラムが出てきます。
背景全面に使うよりも、ポイント的に使ったほうが効果的かも?と思いました。
光に直接当てるくらいだと、ホロの残り?残像?的なものもほぼ出ないので、角度によって面白い演出が出来るかも?かなり高度だと思いますし、私もアイデアは全く浮かばないんですけど…
ラウドチェック


大きめのチェックが印象的なデザインです。
そのため、暗い角度でも視認性は他に比べるとかなり高いのではないでしょうか。
チェックのホログラム模様は傾ける角度によって出る場所が変わるので、なかなかにトリッキー。
とはいえシンプルで使いやすいことは間違いないので、お試しな感じで使うにもよさそうです。
チェックというと、ちょっときちんとした感じ…というかトラッドなイメージもありますが、こちらはカジュアルな印象を受けます。
ストーム


あくまで私の印象ですが、「テクスチャーのついたレインボー」という感じです。
「暗い角度」側の写真を見ていただければわかりますが、ちょっとザラついた、ノイズのようなテクスチャが乗っています。
「ミニキューブ」や「ファイアワークス」のように、特定の図形(模様)が描かれている印象ではないので、「ホログラム系を使いたいけど、ニュアンス程度にとどめたい」という方には使いやすそうな気がします。
ミニハート


全面に大小の❤が散りばめられた、可愛い!ある意味ちょっと怖い(集合体恐怖症の方はキツいかも…)模様。
「暗い角度」の方を見ていただければわかる通り、かーなり高い密度で敷き詰められていますので、結構場所を選ぶ印象です。
個人的にはもうちょっと分散されててもよかったのでは…?と思いますが…
他に❤系がないので余計に…
アストロ


星が全面に散りばめられた、とっても可愛いホログラム紙です!
星の密度は濃いものの、ひとつひとつのサイズは小さいので、視認性は意外と◯。
カジュアルポップな本の背景やアクセントに使うと効果的な印象です。
ずーっと見続けると目がチカチカしてくるので、長く表紙を見てほしい方は注意したほうがいいかもしれません!
スターダスト


一見「アストロ」と似ていますが、「アストロ」の星の密度を減らしつつ、テクスチャをプラスしたのがこちら。
ホログラムの偏光面積(勝手に私が言っているだけです)はこちらの方が多く、角度による印象の違いを見せたいなら、「アストロ」よりはこちらの方がオススメです。
また、先述の通り、「アストロ」よりも星図形の密度が減っているので、「ちょっとシリアスよりだけど星を入れたい」という方は、こちらを選ぶ方がいいかなと思います。
ポルカドット


キラキラ感がすごく可愛いホログラム!
シティライトに似ているようですが、あちらは同じ大きさの◯が配置されているのに対し、こちらは大小様々なサイズがランダムに配置されているので、光り方が結構違います。
落ち着いた・上品な印象を与えたいならシティライト、派手・元気な感じにしたいならこっちがオススメ!
夏・海みたいな雰囲気にとても合いそうです。
サンド


ラウドチェックに、名前の通り「砂目」をプラスした感じです。
チェック模様が可愛い!けどせっかくならもう少しキラキラ感がほしい…という方はこちらのサンドの方がオススメです。
かなり細かく光るので、下の絵やデザインが目立たなくなることもなさそう。
チェック部分を模様として使えばよりおしゃれな感じになりそうです!
ラビリンス


人が分解されてテレポートした時のエフェクト(通じづらい)のようなデザインのホログラムです。
写真では左側一面がしっかり光ってますが、実際はもう少し散らばって光る感じです。
ホログラムの1個1個のパーツは小さめで、ギラギラよりもキラキラ系の光り方なので、意外とクセがありません。
デジタル・ゲーム系を意識しなくても気軽に使えそうな印象です。
スクエア


モザイクの1タイルが大きくなった(3×3)印象のデザインです。
他のホログラムはレインボーカラーですが、こちらはシンプルな鏡面?鏡面とも違うか…特に色はなく、白っぽく光ります。
非常にシンプルではあるものの、光の大きさは他の追随を許さないので、大胆に光らせたい方向け。
レーザー


細い筋がランダムに入ったデザインは、レーザーという名前ではあるものの、どこか和紙のような印象も受けます。
模様自体は非常に細かく入っているので、角度によってはホログラムで下が見えづらいほど。
とはいうものの、下品な光り方ではありません。
絵・デザインの全面に使うには少々派手すぎるかなと思いますが、ポイントで使うと強い印象を与えられそうです。
スパークル


シティライト、ポルカドットよりも細かいドットのキラキラが眩しいです、まさにスパークル!
その分密度はみっしりなので、全体的にホロを出したいけど、ある程度模様感もほしい!という方にオススメです。
全体の中では模様の出方が強め。レーザーほど強くなく、ミニキューブと同じくらいの圧を感じます。
アヴァロン


理想郷なのか…?湖面のような模様のホログラムです。
少しデジタルっぽい雰囲気もありますが、ラビリンスよりは控えめな光り方に見えます。
写真ではあまり光っていないように見えますが、きちんとしっかり光るのでご安心ください!
でも、他と比べると光る角度が少ない(すぐにキラッとしない)印象はあります。
個人的な偏見ランキング
今回も個人的偏見ランキングを掲載!あくまで参考として考えていただければ幸いです。
遠くからでも印象が強そうランキング
- モザイク
- スクエア
- ラウドチェック
1位のモザイクは本当にわかりやすい!2位のスクエアはモザイクの拡大版?で、光る面積も大きいのでわかりやすいです。
ラウドチェックは他2つとは違う光り方ですが、光る筋が太めなので目立つ印象でした。
模様の密度が高いランキング
- レーザー
- スパークル
- ミニハート
光らせたときは下地が見えづらくなるほど光ります!
「どうせホログラム使うなら、バチバチわかるようにしたい!」という方はこのあたりを選んでみたらいいかも。
逆に、デザイン部分や絵の上にそのまま載せちゃうと、光る角度ではかなり模様に潰されちゃうので注意したほうがいいと思います。
自分で使うならランキング
- ファイアワークス
- スターダスト
- ポルカドット
- ラビリンス・レーザー
私が本で使うならこの5つが候補です。
中でもファイアワークスは本当に可愛くて、機会があれば絶対に使いたい!
これに内容をあわせた本を作ってもいいかもと思うほどです。
スターダストは上品な光り方ながら星がキラキラときらめくのがこれまた可愛く、ポルカドットは本の内容(シリアス/コメディ)問わず使えそうです。
白抑えも使えば自由度が高い演出ができそう!
全体を覆うホログラムPPと違い、白抑え(白印刷)をすればその部分はホログラムが出ないので、自由度が高い演出が可能な紙だと思います。
人物絵は白印刷し、背景はホロを活かすというシンプルな方法でも、ぱっと目を惹く表紙が作れる印象を受けました。
少しでも参考になれば幸いです。
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